雲中の氷粒子の成長
のうてんき
雲中で形成され、大気中を落下する固形降水は4種類に分類できる。
雪結晶
雪結晶
水蒸気の昇華凝結過程で形成・成長したもの。
形状は温度や水蒸気量によって複雑に変化する。
基本的に六方晶形で、平板状(平板樹枝)または角柱状(針状結晶)に大別できる。
雪結晶の形状は、温度が0~-4℃で角板、-4~-10℃で角柱、-10~-21℃で密度(過飽和度)が高くなるにつれて、角厚板、骸晶角板(中空の骸角構造をもつ六角板)、角板、扇形、
樹枝状六花へと変化する。
雪片(せっぺん)
雪片(せっぺん)
複数の雪結晶が落下中に衝突・併合したもの。
大きな雪片は気温が0~-5℃付近と-10~-15℃付近で形成されやすい。0~-5℃になると氷表面の付着度合いが増すためで地上気温が高いとき「ぼたん雪」が観測されることが多いのはその証明である。
-10~-15℃は樹枝結晶が成長する温度領域であり、この結晶最先端部の複雑な形状が雪結晶同士をより結晶しやすくするからである。
霰(あられ)
霰(あられ)
昇華凝結より過冷却水滴(雲粒)の補足がはるかに卓越した過程で、雪結晶が成長したもの。
過冷却水滴が多量に存在する雲中で、雪結晶による雲粒の補足がいったん卓越すると、雪結晶の落下速度は大きくなり、雲粒付雪結晶へと成長し、さらに多くの雲粒や雪結晶を補足して「霰(あられ)」へと成長する。
雹(ひょう)
雹(ひょう)
霰が成長したもので、直径がおおむね5mm以上に成長したもの。
大きな「雹(ひょう)」が形成されるためには、大きな落下速度をもつ「雹(ひょう)」を雲中に滞留させる強い上昇気流と「雹(ひょう)」が雲中を何度も上下運動する雲構造が不可欠である。
「雹(ひょう)」の断面にみられるリング状の多層構造は雲中を複数回上下運動した証明である。