知識

気温と湿度

のうてんき

気温は様々な分野に大きな影響を与えるため、天気予報の中でも重要な予報要素となっている
ここでは気温と湿度についてまとめる。

気温と湿度

最低気温と最高気温

最低気温と最高気温の定義は天気予報と地上観測の場合分けをしている。
<天気予報の場合>
  最低気温とは‥午前0時から午後9時までの期間中の最低気温
  最高気温とは‥午前9時から午後18時までの期間中の最高気温
  (最高気温と最低気温の差を日較差という)
<地上観測の場合>
  記録(統計データ)に残る最低・最高気温とは‥午前0時から24時間の期間中の観測極値

エルニーニョ現象/ラニーニャ現象

エルニーニョ現象

太平洋赤道域の中央部から南米ペルー沿岸にかけての広い海域で、数年に一度海面水温が上がり、その状態が半年から1年程度続く現象のこと。

ラニーニャ現象

エルニーニョ現象と同じ海域で海面水温が平年より低い状態続く現象のこと。

エルニーニョ現象/ラニーニャ現象
※凡例は平年差

出典:気象庁ホームページ

エルニーニョ現象が起こると
どうなる?

エルニーニョ現象が発生時は、東風が平常時よりも弱くなり、西部に溜まっていた暖かい海水が東方へ広がるとともに、東部では冷たい水の湧き上りが弱まる。このため、太平洋赤道域の中部から東部では、海面水温が平常時よりも高くなる。
エルニーニョ現象発生時は、積乱雲が盛んに発生する海域が平常時より東へ移る。

ラニーニャ現象が起こると
どうなる?

ラニーニャ現象が発生時は、東風が平常時よりも強くなり、西部に暖かい海水がより厚く蓄積する一方、東部では冷たい水の湧き上がりが平常時より強くなる。このため、太平洋赤道域の中部から東部では、海面水温が平常時よりも低くなる。
ラニーニャ現象発生時は、インドネシア近海の海上では積乱雲がいっそう盛んに発生する。

エルニーニョ現象発生時/ラニーニャ現象発生時



出典:気象庁ホームページ

フェーン現象

山の風上側の斜面を湿った空気が上昇し、途中で水蒸気が凝結して降水がもたらされるときに潜熱が放出される。山を越えると空気は乾燥断熱的に昇温して風下側に吹き降りる。このように風上側よりも風下側の山麓のほうで気温が高くなる現象。
<簡単にいうと、空気が山を越えて下降してくるときに気温が上昇すること。>
フェーン現象による気温上昇のしくみを理解するには、湿潤断熱減率、乾燥断熱減率の理解が必要となる。
また、フェーン現象には、凝結・降水を伴う熱力学的フェーン現象と、凝結を伴わない力学的フェーン現象の2種類が存在する。

熱力学的フェーン(非断熱的フェーン)現象 ~凝結・降水を伴う~

空気塊が気流となって山を上昇するときに凝結・降水現象を伴い、麓まで吹き降りるときに昇温する現象を熱力学的フェーン(非断熱的フェーン)現象という。
気温が高くなる過程は以下①~③になる。
湿潤な空気塊が気流となって山岳の山腹に沿って上昇し、途中で断熱膨張による冷却が起きて、露点温度に達すると雲ができる。
露点温度に達してからは、おおむね湿潤断熱減率(0.5℃/100m)の割合で気温が下降するが、空気塊が山頂に達するまで凝結・降水によって水蒸気が失われる。
山頂から地表まで空気塊が下降すると、乾燥断熱減率(1℃/100m)の割合で気温が上昇し、その結果、山岳を越える前の空気塊の気温より、山岳を越えて平地に到達したときの空気塊の気温のほうが高くなる。

力学的(乾いた)フェーン現象 ~凝結・降水を伴わない~

凝結・降水が伴わない空気塊が山を越えて下降するときにもフェーン現象は起きる。
大気の上層ほど温位が高い空気があるために、山麓地点から空気塊が山頂に達したときに、その付近に存在する相対的に温位の高い空気を一部巻き込んで強制的にC地点まで降ろしてしまう。これを力学的フェーン(乾いたフェーン)現象という。
夏に日本列島が太平洋高気圧に覆われて、35℃以上に気温が上昇するときは、乾いたフェーン効果もあると考えられている。

観測-解析(気温)

気温の観測所で大切な要素は以下3つ
 ★地上or積雪面上 1.5m 基準(気象庁)
 WMO(世界気象機関)では地上1.25~2.0mの間を推奨 
 ★日射や地表面からの輻射熱を避ける
 ある程度広い範囲が芝生で覆われた場所(露場)で観測機器に日射が当たらないこと
 ★風通しの良い場所で観測する
 観測機器に熱がこもることのないように通風により外部の気温と同じにする
※尚、地上気温観測の結果を補正することはしない(高層観測は日射補正をする)

温度・湿度計

代表的な気温の観測機器は以下3つ。
尚、気温の観測時表記は、たとえば、午前10時00分であれば、午前10時00分時点の観測値である。

ガラス製温度計

目盛りを施した細長いガラス管に水銀を満たして、温度の上昇で水銀が膨張する物理的変化を利用して観測する温度計。
取り扱いが比較的簡単で、移動や設置が容易であることが長所。

金属性温度計

膨張率の異なる2枚の金属を張り合わせた金属板が、温度変化によって変形することを利用した温度計。
構造上の制約から1℃程度の誤差を含むため、制度の高い気温観測には不向きとなる。

電気式温度計(白金温度計)電気式湿度計

主に気象官署やアメダスで使用されている温度計。

白金の抵抗値が温度上昇とともに大きくなる性質を利用したもの。気温が高くなれば白金抵抗値は大きくなる。
上部に円筒内の通風を起こすためにファンが回転しており、円筒の株から空気が吹き込み、上部傘下から取り込まれた空気が噴出してる。
このファンの回転数はセンサー付近の空気の流速が5m/s程度になるように作られている。また、湿度も同時に観測している。
電気式温度計は外側のステンレス製円筒に覆われて、センサー部が雨や風にさらされることを防いてでいる。この温度計を設置するには、通風筒の下端(空気を取り入れる下端面)が地上1.5mの高さに設置しなければならない。温度センサ部が地上1.5mの高さではない。

これはWMO(世界気象機関)が地表面温度の影響を小さくするために、地上1.25~2.0mの高さで気温観測するように勧告しており、気象庁は地上1.5mで観測するという決まりによるもの。


通風筒の下端から空気をファンで取り込んでいるので、センサー部ではなく、通風筒の下端が地上1.5mに設置する。この高さはおおむね人の顔の高さであり、人が最も体感しやすい気温ともいえます。
なお、この電気式温度計はある時刻に観測を開始しても、その観測結果が得られるまでにある程度の時間(時定数)が必要であり、その期間の気温を測っているとも解釈できるので、数秒以下の急激な気温変化を精度よく観測はできません。
また、雨の降り始めには、外側カバーに雨滴が付着して蒸発することで潜熱の吸収のため冷え、ごくわずかですが一時的に気温が下がることがある。

ちょっとブレイク(気温・湿度)

最も低い気温

最も低い気温
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